3-6 神経、眼、耳、顔面の先天奇形

先天奇形、変形および染色体異常(Q00-Q99)

神経系の先天奇形(Q00-Q07)

疾病 特徴 特記事項
無脳症 頭蓋円蓋部、硬膜、頭皮が欠損し、大脳半球が形成されない。胎児期には生命機能があるが、出生後1週間以内で死亡。発生頻度1/1,200で女児に多い。12週ごろから超音波で診断可能。  
小頭症 頭囲が異常に小さい。一次性(遺伝)と二次性(胎内放射線被曝、感染、代謝異常)に分かれる。知能障害、運動障害、けいれんなど多彩な症状を呈する。 標準偏差の2倍以上小さい頭囲
先天性水頭症 頭蓋内に髄液が異常に貯留し、児頭が著しく増大。閉塞性(非交通性)と交通性に分かれる。脳圧迫、頭蓋骨薄化、分娩障害が起こる。X線や超音波で診断可能。 分娩障害の原因
二分脊椎(脊椎披裂) 脊椎が分裂し、脊髄や髄膜がヘルニア状に脱出。腰部・腰仙部に好発し、水頭症やアーノルド・キアリ症候群を合併。妊娠中の超音波検査で診断可能。出生後早期手術を行う。 α一フェトプロテイン値の上昇
アーノルド・キアリ症候群 小脳扁桃と延髄が脊椎管に突出し、脳幹が引きつる。脊髄髄膜瘤や水頭症を合併しやすく、呼吸障害、嚥下困難、四肢運動麻痺が主症状。  

暗記のコツ

暗記する際は、以下のポイントに着目しましょう!

  1. 病名と特徴をセットで覚える
    例えば「無脳症=脳が形成されないが胎児期には生命機能がある」など、病名と特徴をひとまとめにして覚えます。これは、病名を聞いたときにすぐに特徴を思い出せるようにするためです。
  2. 共通点を見つける
    「二分脊椎」と「アーノルド・キアリ症候群」など、合併症や関連症状が共通するものはグループ化して覚えると、記憶が整理されやすくなります。
  3. イメージで覚える
    視覚的なイメージを使うと効果的です。例えば、水頭症なら「頭が大きくなる」、アーノルド・キアリ症候群は「脳が下に引っ張られる」といったイメージを持つことで、情報が頭に残りやすくなります。
  4. 繰り返し復習
    定期的な復習が暗記のカギです。一度覚えたら、それを何度も思い出して確認することで、長期的な記憶に定着します。ポストイットなどでメモを貼って、何度も目にするようにするのもおすすめです。

頑張ってくださいね!丁寧に、でも楽しく学習を進めていきましょう!

眼、耳、顔面および頚部の先天奇形(Q10-Q18)

眼の先天奇形

疾病 特徴 特記事項
無眼球症 胎生第3~4週で眼胞が形成されず、眼球が全く存在しない。 中枢神経の発生異常と関連する。
小眼球症 眼球が異常に小さい状態。
単眼症・合眼症 両眼の眼胞が融合し1つの眼球を持つ状態(単眼症)または部分的に融合した状態(合眼症)。前脳の発生異常による頭蓋奇形を伴う。 生存が困難。
先天性水晶体奇形 先天白内障、先天水晶体偏位、先天無水晶体、球状水晶体、円錐水晶体などがある。
小角膜 角膜径が9mm以下の異常。
巨大角膜 角膜径が13mm以上の異常。
球状角膜 角膜が球状に膨らんだ状態。
先天性角膜混濁 角膜が先天的に混濁する。原因は強角膜症、ピータース奇形、アクセンフェルト・リーガー症候群、または代謝異常(ムコ多糖症、脂質代謝異常)による。
虹彩コロボーマ 虹彩の一部が欠損している状態。 欠損部は通常下方に生じる。
毛様体コロボーマ 毛様体の一部が欠損している状態。
脈絡膜コロボーマ 脈絡膜の一部が欠損している状態。
先天無虹彩症 虹彩が形成されない先天異常。両眼性で、角膜や隅角、水晶体異常を伴うことが多い。
第1次硝子体過形成遺残 硝子体の先天異常で、第1次硝子体が過剰に残存する状態。
硝子体動脈遺残 胎生期の硝子体動脈が残存する状態。
網膜有髄線維 網膜に髄線維が存在する先天異常。
鎌状網膜剥離 網膜が鎌状に剥離する状態。
先天網膜分離症 網膜の層が分離している先天異常。
遺伝性黄斑変性 黄斑部が変性する遺伝性の疾患。
視神経乳頭コロボーマ 視神経乳頭が欠損している状態。ぶどう膜コロボーマに伴う場合もある。胎生裂の閉鎖不全が原因。
先天性緑内障 線維柱帯の機能不全や、膜の存在により房水が排出されず眼圧が上昇する。乳幼児では眼球壁が軟らかいため、眼球が増大し、牛眼のように見える。 高眼圧による眼球増大。
暗記のコツ

暗記に関しては、まず以下の3つのステップで進めていくと効率的です。

  1. グループ化する
    似た特徴を持つ病名をグループに分けると覚えやすくなります。例えば、**コロボーマ(欠損)**に関連する「虹彩コロボーマ」「毛様体コロボーマ」「脈絡膜コロボーマ」などをまとめて覚えます。また、「硝子体」や「網膜」に関する異常も一つのグループとして覚えるのが効果的です。
  2. 関連付ける
    病名の由来や語源を理解すると、より覚えやすくなります。例えば、「コロボーマ」は「欠損」という意味なので、欠損を表す部分がどこにあるか(虹彩、毛様体、脈絡膜など)をイメージしながら覚えます。「無虹彩症」は「虹彩が無い」という意味なので、名前そのものが状態を説明しています。
  3. 視覚化する
    病名ごとの異常の特徴をイメージすると、記憶に残りやすいです。例えば、「先天性緑内障」を覚える際は、眼圧が上がり、牛眼のように大きくなった眼球を思い浮かべると効果的です。また、コロボーマでは欠損部がどこに生じるかをイメージすると、位置関係を整理しながら覚えられます。

暗記は、何度も繰り返していくことが重要です。短い時間でも良いので、毎日少しずつ復習する習慣をつけると、無理なく知識が定着していきます。焦らずに、コツコツ進めていきましょう!

耳・顔面・頚部の先天奇形

疾病 特徴 特記事項
先天性外耳道閉鎖症 第一鰓溝の発育不全で、軟部組織または骨部外耳道が閉塞。中耳内の顔面神経走行異常や耳小骨形成不全を伴うことが多い。 手術前にはX線やCT検査が必要。
耳介のその他の先天奇形 第一鰓弓と第二鰓弓の発育不全による耳介の奇形。無耳症、小耳症、袋耳、耳垂裂、副耳などのさまざまな形状が存在する。
先天性耳瘻孔 第一鰓弓と第二鰓弓の融合不全により耳の前部に棲孔(小さな穴)ができる。約20%は両側性。感染すると膿瘍が形成されることがある。再発防止には根部からの摘出が必要。 摘出時は顔面神経を傷つけないよう注意。感染時は膿瘍形成。
暗記のコツ

暗記には、以下のステップをおすすめします:

  1. 関連付けて覚える
    各病気の原因は「鰓弓の発育不全」が共通しています。これを基盤に、どの部分が影響を受けているのか(外耳道、耳介、瘻孔)を整理して覚えると良いでしょう。
  2. 視覚的に覚える
    先天性耳瘻孔や耳介の奇形は、その外見をイメージすると記憶に残りやすいです。耳の前に小さな穴ができる「耳瘻孔」や、耳が袋状になっている「袋耳」など、具体的な形状を想像しながら覚えてください。
  3. 反復練習
    短期間で大量に覚えようとせず、毎日少しずつ何度も見直して、徐々に記憶を定着させましょう。例えば、通勤中や休憩時間に一つずつ思い出すのも効果的です。
  4. 語呂合わせを使う
    「第一鰓弓(さいきゅう)・第二鰓弓(さいきゅう)=耳の奇形」という感じで、リズムのある語呂合わせを考えると覚えやすくなります。

暗記は急がず、焦らず、日々の積み重ねが大事です!頑張ってくださいね。