3-10 臨床医学総論⑩

目次

損傷、中毒、その他の外因の影響(S00-S98)

各部位の損傷(2)

肩および上腕の損傷(S42)

病名/損傷 特徴 特記事項
鎖骨骨折 小児に最も多い骨折。上肢伸展や肩を下にして転倒時に発生。保存的治療が原則。8字帯や固定帯で4~6週間固定。 骨癒合は良好。早期社会復帰のため手術も選択。
肩甲骨骨折 肩外方からの介達外力が原因。三角巾で患側上肢を吊り、早期運動が重要。
上腕骨近位端骨折 高齢女性の骨粗鬆症患者に多発。軽度転位は固定と早期運動、重度転位や脱臼合併は手術。
上腕骨骨幹部骨折 投球・腕相撲で螺旋骨折。保存的治療が原則だが、早期復帰には観血的整復術。 合併症なし・骨折面が広い場合は保存的治療。
上腕骨遠位端骨折 小児に多く、滑り台やブランコでの転倒が原因。保存的治療が基本。経皮的ピンニングやギプス固定(約3週間)。
上腕骨外顆骨折 幼少年に多い。肘外反力が原因。骨片が90°以上回転することが多く、手術が必要。 手術で骨片整復・鋼線固定。
肩関節脱臼 転倒時に発生。前方脱臼が多い。整復後、胸郭に固定(約3週間)。再発防止のため運動開始に注意。 反復性脱臼のリスクあり。
肩鎖関節脱臼 肩を下にして転倒、ラグビー・柔道で多発。靭帯損傷が軽度なら保存療法、重度は手術療法。 完全脱臼では装具や手術療法。
カイト

覚えることが多くて大変ですよね!でも、コツをつかめばスムーズに覚えられますよ✨
無理せず、少しずつ覚えていきましょう😊✨

1.関連付けで覚える!
  似た特徴を持つ疾患をグループ化して覚えると効率的です!
  ・小児に多い骨折 → 鎖骨骨折・上腕骨穎上骨折・上腕骨外顆骨折
  ・高齢者に多い骨折 → 上腕骨近位端骨折(特に女性・骨粗鬆症)
  ・スポーツ関連の外傷 → 肩鎖関節脱臼(ラグビー・柔道)

2.語呂合わせを活用しよう!
  語呂合わせは記憶にバッチリ残ります!
  ・「鎖(さ)こは小(しょ)う児(じ)」 → 鎖骨骨折は小児に多い!
  ・「肩(けん)こつ三(さん)角巾(かくきん)」 → 肩甲骨骨折は三角巾で固定!
  ・「脱(だ)けたら三(さん)週(しゅう)お休み」 → 脱臼は3週間固定!

3.イラスト・図で視覚的に覚える!
  骨の形や関節の動きをイラストで確認すると理解しやすいですよ!
  ・鎖骨・肩甲骨・上腕骨の位置関係を図解でチェック!
  ・脱臼の前方・後方の違いをイメージで理解!

4.短時間×反復学習!
  一度に全部覚えようとせず、短時間の学習を何度も繰り返しましょう!
  ・朝5分・夜5分の「小分け学習」も効果的!

5.アウトプットで記憶定着!
  声に出して説明したり、紙に書き出したりすると、知識がしっかり身につきます✨
  ・家族や友人に説明してみる
  ・ノートにまとめてみる

肘および前腕の損傷(S50-S59)

病名/損傷 特徴 特記事項
肘頭骨折 成人が肘をついて転倒時に発生。転位のない場合は約3週間ギプス固定、転位がある場合は手術。 なし
橈骨近位端骨折 肘を伸ばして転倒し発生。軽度のものは三角巾で4週間、重度は観血的整復+3週間ギプス固定。 なし
尺骨骨幹部骨折 打撃による直達外力で発生。転位なしなら4週間ギプス固定、転位ありは手術。モンテジア脱臼骨折は尺骨整復で自然整復。 モンテジア脱臼骨折:尺骨骨折と橈骨骨頭脱臼の合併
橈骨骨幹部骨折 介達外力による斜骨折や螺旋骨折。転位なしは4~6週間ギプス固定、転位ありは観血的整復固定。 なし
橈尺骨両骨折 強い外力+回旋筋の影響で転位しやすい。神経・血行障害に注意。成人は正確な整復が重要。 X線は前後像・左右像・肘手関節含め撮影
橈骨遠位端骨折 コーレス骨折:掌をついて転倒し、末梢骨片は背側橈側に転位。麻酔下整復+ギプス固定。骨粗鬆症の高齢者に多い。 創外固定やピンニングが必要な場合あり
スミス骨折:手関節を屈曲して倒れ発生。末梢骨片は掌側転位。コーレス骨折とは逆方向に整復。 なし
カイト

前腕骨折は 転倒の仕方力の加わり方 で特徴的な骨折パターンがあるのがポイント!

1.語呂合わせで覚える!
 ・「肘をつく → 肘頭骨折」(わかりやすい)
 ・「掌をつく → コーレス骨折、手背をつく → スミス骨折」(対比で覚える!)
 ・「モンテジア脱臼骨折 → 尺骨骨折+橈骨骨頭脱臼」(セットで暗記!)

2.イメージで理解!
 ・転倒したときの 手のつき方 を実際にやってみると、どの骨折がどの状況で起こるかがイメージしやすいよ!
 ・X線撮影のポイントも、整復が必要なケースでは 関節を含めた撮影が重要 っていうのを押さえておこう!

手首および手の損傷(S60-S69)

病名/損傷 特徴 特記事項
手の舟状骨骨折 手をついて倒れた際に発生。舟状骨は血流が乏しく、中央部骨折では近位側骨片に無菌性壊死のリスクあり。 X線検査(4方向)で診断。癒合に時間がかかり、観血的整復固定術が推奨される。保存的治療ならギプス約8週間固定。 偽関節化や壊死のリスク。骨移植が必要になることも。
第1中手骨骨折(ベネット骨折) 突き指などで発生。母指の基部に腫脹と圧痛。牽引整復が可能だが、ギプス固定が難しく、螺子やキルシュナー鋼線で内固定を行う。
その他の中手骨骨折 転位が少なく安定した骨折が多い。3~4週間の外固定で治癒。
手関節の脱臼(月状骨脱臼・月状骨周囲脱臼) 手関節背屈位での転倒時に発生。腫脹・痛み・正中神経領域の知覚鈍麻を伴うことが多い。 受傷早期なら徒手整復可。整復不能なら手術適応。
指関節脱臼 過伸展で発生。多くは遠位方向への牽引で整復可能。
ただし、以下の3つは徒手整復困難で手術適応。
(1)示指MCP関節背側脱臼
(2)母指MCP関節背側脱臼
(3)示指PIP関節掌側脱臼
カイト

さぁ、手のケガをしっかり覚えましょう!
まず、イメージしながら覚えるのが大事です。

1.「受傷機転 × 影響部位 × 治療法」 のセットで覚える!
 →例えば、舟状骨骨折なら「手をついて転倒 → 壊死リスク → 長期ギプスor手術」
 →ベネット骨折なら「突き指 → 牽引整復できるけど固定困難 → 手術」

2.語呂合わせを活用!
 ・「舟(舟状骨)は遠く(遠位)から水(血流)をもらうけど、途中で止まる(壊死)」
 ・「ベネットさん(ベネット骨折)は親指(母指)で突っ込み(突き指)、鋼線(キルシュナー)で修理」

3.疾患ごとにイメージを作る!
 手首をグッと曲げて、「この姿勢で転ぶと月状骨脱臼だな…」と考えたり、実際に指を引っ張って「これがPIP関節脱臼か…」と体験してみましょう!

股関節部および大腿の損傷(S70-S79)

病名/損傷 特徴 特記事項
大腿骨頚部骨折 高齢者に多発。骨粗鬆症がリスク因子。骨頭壊死や骨癒合遅延が起こりやすい。手術(内固定 or 人工骨頭置換)で早期離床が推奨。 長期臥床による合併症(認知症・呼吸器系・消化器系の悪化)が多い。
小児大腿骨頚部骨折 まれな骨折。高所転落や交通事故で発生。骨頭壊死や下肢短縮のリスクあり。速やかに関節切開手術が必要。 早期骨端線閉鎖を引き起こす。
転子貫通骨折 高齢者の転倒が原因。血流が良いため骨癒合しやすいが、早期離床のため観血的整復+内固定を実施。
大腿骨骨幹部骨折 大きな外力で発生。成人は手術、小児は牽引治療。 成人の長期保存療法は膝関節障害のリスク。
大腿骨遠位端骨折 直達外力で発生。膝窩動脈損傷のリスクあり。転位例は手術。 血行障害に注意。
後方脱臼 屈曲・内転位で膝前面に強い衝撃が加わると発生。ダッシュボード損傷に多い。整復後3〜4週間牽引。 坐骨神経損傷・大腿骨頭壊死のリスクあり(6時間以内整復で減少)。
前方脱臼 高所転落時に大腿が外転位で引っかかると発生。下肢は外旋位。全身麻酔下で整復。 予後は良好。
中心性脱臼(臼底骨折) 強い外力で大腿骨頭が寛骨臼底を突き破る。牽引治療が基本。関節面の段差があると変形性股関節症に進行。 予後不良。
カイト

医療用語や骨折の種類は似たものが多く、混同しがちですよね。
でも大丈夫!以下の方法でスッキリ整理できます✨

1.ストーリーで覚える!
 ・「高齢者 × 骨粗鬆症 = 大腿骨頚部骨折」手術 & 早期離床が大事!
 ・「子ども × 高所転落 = 小児大腿骨頚部骨折」壊死 & 下肢短縮リスク💦

2.語呂合わせで記憶
 ・「コウジョウでダッシュ(後方脱臼)」
  → 交通事故(ダッシュボード損傷)で発生
 ・「前(前方脱臼)に転がる(高所転落)」

3.イラストや図を活用!
 骨折の位置関係や脱臼のメカニズムは 図で理解 するとスムーズに覚えられます✏️
 コツコツ覚えて、一歩ずつ知識を定着させましょう💪🔥

膝および下腿の損傷(S80-S89)

病名/損傷 特徴 特記事項
膝蓋骨骨折 直達外力による粉砕骨折と、大腿四頭筋の収縮で起こる横骨折に分かれる。関節内血腫による腫脹が特徴。ギプス固定や手術(引き寄せ締結法)を行う。 血腫形成が顕著。膝外支帯断裂を伴う場合は手術が必要。
脛骨近位端骨折 膝伸展位で荷重時、側方からの衝撃で発生。転位がなければ直達牽引、転位があれば観血的整復・内固定を行う。 自動車事故でのバンパー衝突が典型例。
脛骨骨幹部骨折 皮下の浅い部位にあるため開放骨折になりやすい。直達外力では横骨折、捻転力では斜骨折や螺旋骨折が多い。ギプス固定または手術(内固定)を行う。 腓骨骨折を合併しやすい。
内果骨折・外果骨折 墜落・転倒時の足関節への過度な負荷で発生。転位があれば観血的整復・内固定を行う。 骨折様式として「内転骨折」「外転骨折」「外旋骨折」に分類される。
膝蓋骨脱臼 膝の外反・下腿の外旋と大腿四頭筋の収縮が重なると外方へ脱臼。整復後、ギプス固定(3~4週間)を行う。 スポーツ中の受傷が多い。
半月板損傷 膝を捻ることで発生し、縦断裂・水平断裂・横断裂などの形態をとる。MRIで診断し、関節鏡視下縫合または部分切除を行う。 断裂部位によってバケツ柄状断裂(bucket-handle tear)となることがある。
内側側副靭帯(MCL)損傷 伸展位の膝に外側から力が加わると発生。ギプス・装具固定で保存治療。十字靭帯損傷を伴う場合は手術が必要。 膝靭帯損傷の中で最も頻度が高い。
外側側副靭帯(LCL)損傷 内反ストレスで発生。単独損傷はまれで、他の靭帯や神経損傷を合併しやすい。手術療法を選択することが多い。 比較的まれな損傷。
前十字靭帯(ACL)損傷 ジャンプの着地失敗や膝の捻りで発生。単独損傷では保存治療が基本だが、膝動揺性が強い場合は靭帯再建術を行う。 スポーツ選手は再建術を選択することが多い。
後十字靭帯(PCL)損傷 転倒時の膝打撲やダッシュボード外傷で発生。保存療法が第一選択だが、スポーツ選手では再建術を行うこともある。 受傷機転が明確なことが多い。
カイト

まずは全体像を把握し、細かい部分はグループで覚えよう!
しっかり整理すれば暗記もスムーズにいくはずです✨

1.どんな動きや衝撃で起こるのか」 をイメージすると効果的
 ✅ 膝蓋骨骨折 → 「直撃 or 伸ばしたまま強く曲げる」
 ✅ 前十字靭帯損傷 → 「ジャンプの着地でグキッ!」
 ✅ 後十字靭帯損傷 → 「車の事故でダッシュボードに膝がドン!」

2.骨折 vs 靭帯損傷で分類する!
 骨折:膝蓋骨、脛骨近位端、脛骨骨幹部、内果・外果
 靭帯損傷:MCL、LCL、前十字、後十字

3.発生メカニズムをイメージする!
 例えば「膝蓋骨脱臼」は 膝外反+下腿外旋+大腿四頭筋収縮 など、どんな動きで起こるか想像すると覚えやすい!

4.治療の流れをパターン化する!
 転位なし→保存療法(ギプス・装具)
 転位あり→手術(観血的整復・内固定)
 ギプスで済むもの → 軽度の骨折・靭帯損傷(例:MCL損傷、軽度の脛骨骨折)
 手術が必要なもの → 転位のある骨折、靭帯再建が必要な損傷(例:ACL損傷、転位のある内果骨折)

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この記事を書いた人

このブログでは、これから診療情報管理士を目指す方々に向けて、役立つ情報を発信しています。
私の経験や知識を通じて、少しでも皆さんのサポートができればと思っています。
ご意見やご質問はいつでも大歓迎です!一緒に学びながら成長していきましょう。

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