2-7 泌尿器の構造と機能

泌尿器系の構造と機能

腎臓について

項目 説明
腎臓 後腹膜腔内にある1対の臓器で、脊柱の両側、第12胸椎から第3腰椎の高さに位置。
右腎 左腎よりも半椎体ほど下方に位置するが、個体差が大きい。
ネフロン 腎臓で尿を作る構造的単位。腎皮質内の腎小体と尿細管から構成。
腎小体 ネフロンの一部で、糸球体とそれを包むボウマン嚢から構成。
糸球体 毛細血管が集まった構造で、糸球体毛細血管(糸球体)を含む。
ボウマン嚢 糸球体を包み、濾過された原尿を貯留する構造。
糸球体毛細血管 前後が動脈である唯一の毛細血管。
輸入細動脈 糸球体に血液を供給する動脈。
輸出細動脈 糸球体から血液が流出する動脈。
メサンギウム細胞 糸球体の毛細血管の保持と機能調節に関わる細胞。
内皮細胞 糸球体の毛細血管の内側を構成し、濾過機構に関与。
基底膜 内皮細胞と糸球体上皮細胞の間にある膜で、濾過機構に重要。
糸球体上皮細胞 糸球体の外側を構成し、濾過機構に関与。
ボウマン嚢上皮細胞 ボウマン嚢の内側を構成する細胞。
原尿 糸球体で濾過された尿液の初期段階。
近位尿細管 腎臓の尿細管で、ナトリウム、水、ブドウ糖、アミノ酸の再吸収が行われる。
ヘンレループ(係蹄) 近位尿細管から遠位尿細管に至る尿細管の一部で、尿の濃縮に関与。
遠位尿細管 尿の再吸収が行われ、抗利尿ホルモンの影響を受ける尿細管。
集合管 複数の遠位尿細管が合流し、尿の最終的な調整が行われる。
再吸収 尿細管で尿から体に必要な成分が再び吸収されるプロセス。
抗利尿ホルモン 集合管での水の透過性を調節し、尿の再吸収を促進するホルモン。

1. 腎臓の位置と構造

  • 位置: 腎臓は後腹膜腔にあり、脊柱の両側、第12胸椎から第3腰椎の高さに位置。
  • 右腎左腎よりも半椎体ほど下方にあることが多いが、個体差が大きい。

2. ネフロンの構造と機能

  • ネフロン: 腎臓の構造的単位。腎皮質内に存在し、腎小体尿細管から構成される。
    • 腎小体: 糸球体(毛細血管)とそれを包むボウマン嚢
    • 糸球体: 1本の輸入細動脈が入って毛細血管に分岐し、輸出細動脈が出る。
    • 濾過機構: 内皮細胞基底膜糸球体上皮細胞が構成。
    • ボウマン嚢: 濾過された原尿を貯留。

3. 尿の流れと再吸収

  • 尿の流れ: 糸球体 → 近位尿細管 → ヘンレループ(係蹄) → 遠位尿細管 → 集合管
    • **原尿の99%**が再吸収される。
  • 近位尿細管: Naブドウ糖アミノ酸の再吸収。
  • 遠位尿細管: 抗利尿ホルモンにより水の再吸収が促進される。集合管での水の透過性充進。

4. メサンギウム細胞

  • 機能: 糸球体の毛細血管の保持、活性物質の分泌、糸球体の機能調節。

5. 特徴的な毛細血管

  • 糸球体毛細血管: 前後が動脈である唯一の毛細血管。

6.学習方法

  • フラッシュカード: 腎臓の位置、ネフロンの構造と機能、尿の流れと再吸収について、各項目をカードにして覚える。
  • 図示: 腎臓の構造や尿の流れを図にして視覚的に理解しやすくする。
  • まとめノート: 各項目を簡潔にまとめて、短い文章やキーワードで覚える練習をする。
  • 練習問題: 腎臓の機能や構造に関する問題を解いて、理解を深める。

腎臓の機能

項目 説明
糸球体 腎臓内の構造で、血液を濾過して原尿を作る。
濾過機能 血液を濾過して原尿を作る機能。
腎血流量(RBF) 腎臓に流れる血液の量で、1,000mL/分。
腎血漿流量(RPF) 腎臓に流れる血漿の量で、500mL/分。
糸球体濾過量(GFR) 糸球体での濾過量で、100mL/分。
原尿 血漿とほぼ同じ組成の尿液の初期段階。
サイズバリア 大きな分子(血球、免疫グロブリンなど)は濾過しないバリア。
チャージバリア 陰性電荷を帯びる物質(アルブミンなど)は濾過しないバリア。
尿細管 原尿から必要な物質を再吸収する腎臓内の管。
再吸収 尿細管で尿から体に必要な物質を再び吸収するプロセス。
電解質 ナトリウム、塩素、重炭酸、カルシウムなどのイオン。
水小分子グロブリン 小分子のグロブリンやブドウ糖、アミノ酸も再吸収される。
分泌機能 尿細管で尿に物質(イオンや尿素など)を分泌する機能。
エリスロポエチン 低酸素状態で骨髄内赤芽球系前駆細胞に作用し、骨髄造血を刺激するホルモン。
ビタミンD3活性化 ビタミンD3が腸管、腎尿細管でのカルシウム吸収を促進する。
アルドステロン 遠位尿細管でナトリウム再吸収とカリウム排泄を促進し、水分も再吸収するホルモン。
抗利尿ホルモン(ADH) 水の再吸収を増加させるホルモン。
副甲状腺ホルモン(PTH) カルシウム再吸収を促進し、リン再吸収を抑制するホルモン。
傍糸球体装置(JGA) 糸球体の調節に関わる構造で、輸入・輸出細動脈、ヘンレループ上行脚が集まっている部分。
GFRの調整 血液の量や尿の量に基づいて糸球体濾過量を調整する機能。
レニン分泌の調整 塩素イオン濃度の低下に応じてレニンが分泌される。
レニン 輸入細動脈末端の細胞から分泌され、アンギオテンシンⅠに変換する。
アンギオテンシンⅠ レニンによって生成され、ACEによってアンギオテンシンⅡに変換される。
アンギオテンシンⅡ 血管の平滑筋を収縮させて血圧を上昇させ、副腎皮質からのアルドステロン分泌を促進する。
アンギオテンシン1変換酵素(ACE) アンギオテンシンⅠをアンギオテンシンⅡに変換する酵素。

1. 糸球体

  • 濾過機能: 血液を濾過して原尿を作る。
    • 腎血流量(RBF): 1,000mL/分(心拍出量の1/4)
    • 腎血漿流量(RPF): 500mL/分
    • 糸球体濾過量(GFR): 100mL/分
  • 原尿: 蛋白質濃度以外は血漿と同じ。
  • サイズバリア: 大きな分子(血球、免疫グロブリン)は濾過しない。
  • チャージバリア: 陰性電荷のアルブミンは濾過しない。

2. 尿細管

  • 再吸収:
    • 電解質: ナトリウム、塩素、重炭酸、カルシウム
    • その他: 水、小分子グロブリン、ブドウ糖、アミノ酸
  • 分泌機能:
    • イオン: 水素、カリウム
    • その他: 尿素、アンモニア
  • ホルモン分泌や活性化:
    • エリスロポエチン: 骨髄で赤血球を作る。
    • ビタミンD3: Caの吸収を促進。
  • ホルモン作用:
    • アルドステロン: ナトリウム再吸収、カリウム排泄。
    • 抗利尿ホルモン(ADH): 水の再吸収を増加。
    • 副甲状腺ホルモン(PTH): カルシウム再吸収を促進し、リン再吸収を抑制。

3. 傍糸球体装置(JGA)

  • 構成: 輸入・輸出細動脈、ヘンレループ上行脚。
  • GFR調整: 輸入細動脈内圧、尿細管腔内情報をもとに調整。
  • レニン分泌調整: 塩素イオン濃度低下でレニン分泌が促進。

4. レニン・アンギオテンシン・アルドステロン(RAA)系

  • レニン:
    • 分泌: 輸入細動脈末端のレニン分泌細胞から。
    • 刺激: 腎血流量低下、尿細管内の塩素濃度低下。
    • 役目: アンギオテンシノーゲンをアンギオテンシンIに変換。
  • アンギオテンシンI:
    • 変換: ACEでアンギオテンシンIIに。
  • アンギオテンシンII:
    • 役割: 血圧上昇、アルドステロン分泌促進。
  • アルドステロン:
    • 役割: ナトリウム再吸収、カリウム排泄、水分再吸収。

5.学習方法

  • フラッシュカード: 各項目(糸球体の機能、尿細管の機能、JGAの役割、RAA系のメカニズム)をカードにして覚える。
  • 図示: 腎臓の構造や機能、RAA系の流れを図にして視覚的に理解する。
  • まとめノート: 各ポイントを簡潔にまとめて、キーワードや短いフレーズで覚える。
  • 練習問題: 各項目に関する問題を解くことで、理解を深める。

膀胱について

項目 説明
膀胱 尿をためるための平滑筋の嚢。尿が200mLたまると尿意が起こり、500mLで反射的な放尿が起こる。
尿管 腎臓と膀胱を結ぶ管。尿を腎臓から膀胱へ運ぶ。
尿道 膀胱から外界へ尿を排出する管。
副交感神経(骨盤神経) 膀胱内括約筋を弛緩させる神経。
交感神経(下腹神経叢) 膀胱内括約筋を収縮させる神経。
体性神経(陰部神経) 膀胱外括約筋を支配する随意神経。
膀胱内括約筋 膀胱内に存在し、尿の排出を制御する筋肉。
膀胱外括約筋 膀胱外に位置し、尿の排出を制御する随意筋肉。
  • 尿の蓄積と排尿:
    • 尿が200mL: 尿意を感じる。
    • 尿が500mL: 反射的に放尿が起きる。
    • 腎臓: 尿管を通じて膀胱と結ばれ、尿道を経て外界に排出される。
  • 神経の関係:
    1. 膀胱内括約筋の弛緩:
      • **副交感神経(骨盤神経)**が関与。
    2. 膀胱内括約筋の収縮:
      • **交感神経(下腹神経叢)**が関与。
    3. 膀胱外括約筋の支配:
      • **体性神経(陰部神経)**が関与し、随意的に制御される。

学習方法:

  • フラッシュカード: 各項目(尿量と反応、神経の役割)をカードにまとめて、繰り返し確認する。
  • キーワードメモ: 尿量と神経の関係を簡潔なフレーズで覚える(例: 「200mL = 尿意」「500mL = 放尿」)。
  • 図解: 膀胱の構造と神経の関係を図にして視覚的に理解する。
  • 連想法: 神経の役割を関連付けて覚える(例: 副交感神経 = 弛緩、交感神経 = 収縮、体性神経 = 随意)。

生殖器系の構造と機能

項目 説明
女性生殖器の一部。性交や月経血の排出経路。
子宮 受精卵が着床し発育する器官。
卵管 卵子が排卵後に受精される場所。
卵巣 卵胞ホルモンと黄体ホルモンを分泌する器官。
成熟卵胞 卵巣内で成熟し排卵される卵胞。
排卵 卵巣から成熟卵胞が放出される過程。
受精 卵管内で卵子と精子が結合する過程。
着床 受精卵が子宮内膜に付着する過程。
卵胞ホルモン(エストロゲン) 子宮内膜を増殖させるホルモン。
黄体ホルモン(プロゲステロン) 子宮内膜を成熟させ、着床に適した状態に整えるホルモン。
精子 精巣で作られ、精管から射精管を通して排出される生殖細胞。
精巣 男性ホルモン(アンドロゲン)を分泌する器官。
精管 精子を精巣から精嚢へ運ぶ管。
精嚢 精子を蓄える器官。
射精管 精子を尿道へ輸送する管。
尿道 尿および精液が体外へ排出される通路。
男性ホルモン(アンドロゲン) 性的特徴や精子生成に関与するホルモン。

1.女性生殖器

  • 構造: 膣、子宮、卵管、卵巣
  • 機能:
    • 排卵: 成熟卵胞から
    • 受精: 卵管内で行われる
    • 着床: 受精卵が子宮に移動し、着床発育

2.卵巣

  • ホルモン分泌:
    • 卵胞ホルモン(エストロゲン): 子宮内膜を増殖させる
    • 黄体ホルモン(プロゲステロン): 子宮内膜を成熟させ、着床に適した状態に整える(分泌期に分泌される)

3.男性生殖器

  • 精子の生成と移動:
    • 生成: 精巣上皮で
    • 輸送: 精管から精嚢へ
    • 射精: 性的興奮により射精管から尿道を通して射精

4.精巣

  • ホルモン分泌: 男性ホルモン(アンドロゲン)

覚え方のコツ:

  1. 関係図を描く: 女性と男性の生殖器系を図に描き、それぞれの機能やホルモンを記入する。
  2. 語呂合わせ: 「卵子は卵巣で育ち、卵管で受精、子宮に着床」といった簡単なフレーズを作る。
  3. フラッシュカード: 各ホルモンや器官の名前と機能をカードに書き、クイズ形式で覚える。
  4. 要点整理: 各ポイントの要点を箇条書きにし、要点だけで理解できるようにする。