人体の構造と機能
細胞
項目 | 説明 |
細胞 | 人体構造の基本単位であり、特殊な役割を持つ細胞が集まって組織を形成する。脂質二重膜で囲まれている。 ヒトの細胞数は約60兆個。 |
組織 | 特殊な役割を持つ細胞の集団で、複数の組織が集まると器官になる。 分化した細胞の集団。 |
器官(臓器) | 複数の組織が集まって特定の機能を発揮する構造。 |
細胞膜 | 脂質二重膜で細胞の内部と外部を分ける。物質移送や情報伝達を行う。 |
イオンチャネル | 細胞膜に存在し、イオンの通り道として機能する。 |
トランスポーター | 細胞膜に存在し、特定の物質(例:グルコース)を積極的に移動させる。 |
受容体(レセプター) | 化学物質による情報の伝達を行う。 |
核 | 細胞の内部にあり、核膜で囲まれ、染色体を持つ。 |
染色体 | ヒトは23対、46本の染色体を持ち、遺伝情報を保持。 |
DNA | 遺伝子の化学的本体で、二重らせん構造を持つ核酸。 |
RNA | DNAの情報をコピーして作られ、蛋白質合成を指導する。 |
転写 | DNAの情報をmRNAに写し取る過程。 |
ミトコンドリア | ATPを産生する細胞のエネルギー工場で、独自の遺伝子を持つ。 |
小胞体 | 脂質二重膜で囲まれた細胞質内の小腔で、Caの貯蔵や蛋白質合成を行う。 |
リボソーム | mRNAから蛋白質を合成する装置で、粗面小胞体に付着していることが多い。 |
ゴルジ装置 | ゴルジ板とゴルジ小胞で構成され、蛋白質に糖鎖を付加する。 |
細胞、組織、器官の関係性を理解し、各構造の役割を短文にまとめて覚えるといいですね。図解や単語帳などで視覚的に整理し、繰り返し学習することで知識を定着させると効果的ですよ。
組織(神経・筋・上皮・腺)
項目 | 説明 |
胚葉 | 受精卵から分化し組織を形成する3つの部分(外胚葉、中胚葉、内胚葉)。 |
外胚葉 | 神経系、表皮、下垂体、副腎髄質、感覚上皮を形成。 |
中胚葉 | 筋、骨、血液、副腎皮質、脾、漿膜を形成。 |
内胚葉 | 口腔後部以下の消化管上皮と附属腺、喉頭以下の呼吸器上皮を形成。 |
神経組織 | 神経細胞とグリア細胞から構成される。 |
神経細胞 | 情報の伝達を行う細胞。活動電位を利用して信号を伝える。 |
樹状突起 | 他の神経細胞から情報を受け取る部分。 |
細胞体 | 受け取った情報を統合し、閾値を超えると活動電位を発生させる部分。 |
軸索 | 活動電位を伝導し、他の神経細胞に神経伝達物質を放出する部分。 |
グリア細胞 | 神経細胞を支持し栄養を与える細胞。 |
オリゴデンドロサイト | 中枢神経で軸索を覆うグリア細胞。有髄神経を形成し、情報伝達を速める。 |
シュワン細胞 | 末梢神経で軸索を覆うグリア細胞。 |
有髄神経 | 軸索を覆うことで情報伝達が速い神経。 |
筋組織 | 体の運動を担う能動的な組織。横紋筋と平滑筋がある。 |
横紋筋 | 随意筋であり、骨格筋などを構成。 |
平滑筋 | 不随意筋であり、自律神経の支配を受ける。 |
心筋 | 随意支配を受けず横紋をもつ筋肉。ギャップジャンクションを介し同期して収縮する。 |
上皮組織 | 外界と内部の境界を形成する組織。皮膚や消化管の表面などを形成。 |
扁平上皮 | 扁平な細胞からなる上皮。単層と重層がある。 |
円柱上皮 | 円柱状の細胞からなる上皮。 |
移行上皮 | 膀胱や尿管などに存在する上皮。 |
腺組織 | 分泌物を産生する上皮組織(腺上皮)。外分泌腺と内分泌腺がある。 |
外分泌腺 | 導管を通じて皮膚や管腔に分泌物を出す腺。 |
内分泌腺 | 物質を血液中に分泌しホルモンとして作用する腺。 |
ペプチドホルモン | 視床下部ホルモン、下垂体ホルモン、インスリンなど。 |
ステロイドホルモン | 副腎皮質ホルモン、性ホルモンなど。 |
ホルモンの作用機序 | 鍵と鍵穴のように厳密な相互関係で作用する。 |
ネガティブ・フィードバック機構 | ホルモン分泌の調節における重要な機構。 |
下垂体前葉 | 他の内分泌系器官に作用してホルモン分泌を調整する。 |
下垂体後葉 | バソプレシンやオキシトシンを分泌する。 |
甲状腺ホルモン | 基礎代謝、発育、体温上昇などを促進する。 |
副甲状腺ホルモン | 血中カルシウム濃度を調整し骨に作用する。 |
膵臓 | ランゲルハンス島でグルカゴン、インスリン、ソマトスタチンを分泌。 |
副腎髄質 | アドレナリンとノルアドレナリンを分泌し、全身に作用する。 |
副腎皮質 | 球状層、束状層、網状層からそれぞれ異なるホルモンを分泌。 |
視床下部 | 視床下部ホルモンを分泌し、内分泌器官を調整。 |
ANP/BNP | 心臓から分泌されるナトリウム利尿ホルモン。 |
胚葉の3つの部分(外胚葉、中胚葉、内胚葉)で形成される組織は覚えておきたいですね。神経組織では神経細胞とグリア細胞の役割を整理し、神経伝達の仕組みを理解します。筋組織は横紋筋、平滑筋、心筋の違いを確認し、上皮組織の種類(扁平、円柱、移行)や腺組織の分泌方式(外分泌、内分泌)を覚えます。ホルモンの作用機序やフィードバック機構、主要な内分泌器官(下垂体、甲状腺、副甲状腺、膵臓、副腎、視床下部、ANP/BNP)の役割も押さえましょう。
ホルモンの生成と作用
項目 | 説明 |
<下垂体前葉> | |
GH | 骨の成長、軟部組織の増殖 |
ペプチドホルモン | 視床下部ホルモン、下垂体ホルモン、インスリンなど。 |
ステロイドホルモン | 副腎皮質ホルモン、性ホルモンなど。 |
ホルモンの作用機序 | 鍵と鍵穴のように厳密な相互関係で作用する。 |
ネガティブ・フィードバック機構 | ホルモン分泌の調節における重要な機構。 |
下垂体前葉 | 他の内分泌系器官に作用してホルモン分泌を調整する。 |
下垂体後葉 | バソプレシンやオキシトシンを分泌する。 |
甲状腺ホルモン | 基礎代謝、発育、体温上昇などを促進する。 |
副甲状腺ホルモン | 血中カルシウム濃度を調整し骨に作用する。 |
膵臓 | ランゲルハンス島でグルカゴン、インスリン、ソマトスタチンを分泌。 |
副腎髄質 | アドレナリンとノルアドレナリンを分泌し、全身に作用する。 |
副腎皮質 | 球状層、束状層、網状層からそれぞれ異なるホルモンを分泌。 |
視床下部 | 視床下部ホルモンを分泌し、内分泌器官を調整。 |
ANP/BNP | 心臓から分泌されるナトリウム利尿ホルモン。 |
主要症状と原因疾患
項目 | 説明 |
<全身倦怠感、体重減少> | 全身のだるさや体重減少を伴う症状。 |
下垂体前葉機能不全 | 下垂体前葉のホルモン分泌不足により起こる。 |
神経性食欲不振症 | 心理的な要因で食欲が低下する疾患。 |
アジソン病 | 副腎皮質ホルモンの不足による疾患。 |
バセドウ病 | 甲状腺機能亢進による疾患。 |
<肥満> | 体重増加を特徴とする症状。 |
クッシング症候群 | コルチゾール過剰分泌により引き起こされる。 |
インスリノーマ | インスリン分泌過剰のための腫瘍。 |
<低身長> | 身長が低いことを特徴とする症状。 |
成長ホルモン分泌不全性低身長症 | 成長ホルモンの不足による低身長。 |
クレチン症 | 甲状腺ホルモン不足による発育不全。 |
ターナー症候群 | 性染色体異常により起こる低身長。 |
思春期早発症 | 思春期の早い発現による疾患。 |
小児のクッシング症候群 | 小児におけるクッシング症候群。 |
<高身長> | 身長が高いことを特徴とする症状。 |
巨人症 | 成長ホルモンの過剰分泌による高身長。 |
クラインフェルター症候群 | 性染色体異常による高身長。 |
カルマン症候群) | 性ホルモン分泌不足による疾患。 |
<高血圧> | 血圧が高いことを特徴とする症状。 |
クッシング症候群 | |
褐色細胞腫 | 副腎髄質からのカテコールアミンの過剰分泌による疾患。 |
原発性アルドステロン症 | 副腎皮質からのアルドステロン過剰分泌。 |
甲状腺機能充進症 | 甲状腺ホルモンの過剰分泌による疾患。 |
<多尿> | 尿の量が多いことを特徴とする症状。 |
糖尿病 | 血糖値の高い疾患。 |
中枢性尿崩症、腎性尿崩症 | バソプレシン不足または腎の反応低下による多尿。 |
心因性多飲 | 精神的な要因で過剰に水を飲む症状。 |
<色素沈着> | 皮膚の色素が濃くなる症状。 |
アジソン病 | 副腎皮質ホルモンの不足に伴う症状。 |
異所性ACTH産性腫瘍 | 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を異所で産生する腫瘍。 |
ネルソン症候群 | 両側副腎摘出後に発生する。 |
<顔貌の変化> | 顔の外見が変わる症状。 |
バセドウ病 | 眼球突出を伴う症状。 |
クッシング症候群 | 満月様顔貌(顔が丸くなる)。 |
末端肥大症 | 骨の増殖により顎、頬骨などが突出する。 |
<尿糖陽性> | 尿中に糖が出る症状。 |
糖尿病 | 血糖値が高く、尿に糖が出る疾患。 |
<高カルシウム血症> | 血中カルシウム濃度が高い状態。 |
<低血糖> | 血糖値が低いことを特徴とする症状。 |
インスリノーマ | インスリン過剰分泌の腫瘍による低血糖。 |
内分泌の症状と原因疾患はとても複雑ですよね。症状をグループ化して、疾患との関連性を意識することが大切ですね。小さな目標を設定して、図解やクイズ形式で反復学習することで記憶を定着するといいですよ。
主な内分泌腺検査 p72
項目 | 説明 |
<下垂体前葉> | |
GH(成長ホルモン) | 【刺激】GRH、アルギニン、Lドーパ、TRH 【抑制】ブドウ糖 |
PRL(プロラクチン) | 【刺激】TRH 【抑制】Lドーパ、ブロモクリプチン |
TSH(甲状腺刺激ホルモン) | 【刺激】TRH 【抑制】T3 |
ACTH(副腎皮質刺激ホルモン) | 【刺激】CRH、インスリン、メトピロン、LH-RH 【抑制】デキサメサゾン |
LH(黄体形成ホルモン)FSH(卵胞刺激ホルモン) | 【刺激】クロミフェン 【抑制】デキサメサゾン |
<下垂体後葉> | |
血中ADH濃度 | ADH濃度の評価は血清浸透圧との比較で行う。少ない場合は尿崩症、多い場合はSIADHを疑う。 |
ADH分泌刺激試験 |
水制限試験、高張食塩水負荷試験を使用。 |
ピトレッシンテスト | ADH製剤のピトレッシンを注射し、尿崩症・心因性多尿と腎性尿崩症を鑑別。 |
オキシトシン基礎値測定 | 妊娠後期にオキシトシンが増加することを評価。 |
<甲状腺> | |
フリーT4、フリーT3測定 | 血中に遊離して存在する甲状腺ホルモンを測定し、甲状腺機能を評価。 |
甲状腺刺激ホルモン(TSH)測定 | 下垂体前葉から分泌されるTSHを測定し、甲状腺機能を評価。 |
抗TSHレセプター抗体 | TSHレセプターに対する自己抗体。未治療バセドウ病の90%以上で陽性となる。 |
抗マイクロゾーム抗体 | 甲状腺のマイクロゾームに対する自己抗体。バセドウ病や慢性甲状腺炎で陽性。 |
抗サイログロブリン抗体 | 甲状腺のサイログロブリンに対する自己抗体。バセドウ病や慢性甲状腺炎で陽性。 |
甲状腺放射性ヨード摂取率 | 甲状腺のホルモン合成能を反映する検査。 |
T3抑制試験 | T3投与後の放射性ヨード摂取率の抑制を測定し、バセドウ病の治療効果を判定。 |
<副甲状腺> | |
血清Ca | 副甲状腺機能亢進症で増加、機能低下症で減少。 |
血清P | 副甲状腺機能亢進症で減少、機能低下症で増加。 |
尿中Ca排泄量 | 副甲状腺機能亢進症で増加、機能低下症では変化なし。 |
血清PTH | 副甲状腺機能亢進症で増加、機能低下症で減少。 |
%TRP(尿細管リン酸再吸収試験) | 副甲状腺機能亢進症で減少、機能低下症で増加。 |
エルスワース・ハワード試験 | 副甲状腺機能低下症と偽性副甲状腺機能低下症の鑑別に使用。PTH投与後、リンとcAMPの尿中排泄量で判断する。 |
<副腎皮質> | |
血清アルドステロン測定 | 原発性・続発性アルドステロン症で増加。 |
尿中17-OHCS測定 | コルチゾールの代謝産物。コルチゾールの過剰または不足の評価に使用。 |
尿中17-KS測定 | アンドロゲンの代謝産物。アンドロゲン分泌異常の評価に使用。 |
血清コルチゾール測定 | クッシング症候群で増加。コルチゾールの過剰分泌を確認。 |
デキサメサゾン抑制試験 | クッシング症候群の原疾患の鑑別に重要。 |
メトピロン試験 | 下垂体-副腎系が正常に作動しているかを調べる。 |
ACTH試験 | アジソン病(副腎皮質機能低下症)で低下。 |
レニン誘発試験 | フロセミド(ラシックス)投与後の血漿レニン活性(PRA)を測定し、原発性アルドステロン症で増加しない。 |
1.下垂体前葉のホルモンと調節因子
GH、PRL、TSH、ACTH、LH、FSHなどのホルモンと、その刺激・抑制因子(例:GRH、TRH、デキサメサゾン)を覚え、どのホルモンがどの因子で調節されるかを把握しましょう。
2.下垂体後葉の評価方法
ADHの血中濃度やピトレッシンテスト、オキシトシンの基礎値測定の目的と方法を理解し、尿崩症とSIADHの鑑別方法を記憶しましょう。
3.甲状腺の検査
フリーT4、T3、TSH、抗TSHレセプター抗体、抗マイクロゾーム抗体、抗サイログロブリン抗体、甲状腺放射性ヨード摂取率、T3抑制試験の役割と指標を覚えましょう。
4.副甲状腺の検査
血清Ca、血清P、尿中Ca、PTH、%TRPの測定とエルスワース・ハワード試験の目的を理解しましょう。
5.副腎皮質の評価
血清アルドステロン、尿中17-OHCS、17-KS、血清コルチゾール、デキサメサゾン抑制試験、メトピロン試験、ACTH試験、レニン誘発試験の方法と診断目的を記憶しましょう。