1-1 医学と医療

医学と医療

医学・人間の生命にかかわる科学

項目
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基礎医学
解剖学、生理学、薬理学、病理学、生化学、細菌学など、自然科学的基礎に基づく医学分野。
臨床医学
診断や治療技術を扱う応用科学。内科学、小児科学、外科学、精神科学などに分かれる。
予防医学
病気の予防や社会環境の改善、衛生状態の向上を目的とする学問。
応用医学
医学を他分野に応用する学問。法医学、環境医学、医療科学などを含む。
医療技術学
臨床現場における医療関連技術を研究する分野。コ・メディカル職種による技術。
※コ・メディカル・・・医師、看護師以外の医療従事者。薬剤師、放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、診療情報管理士等
医の倫理学
医療行為における生命の尊厳と人権を重視する倫理学。
解剖学
人体の構造を明らかにする学問。
生理学
人体の機能を明らかにする学問。
薬理学
薬物の作用機序を明らかにする学問。
病理学
病気の原因を明らかにする学問。
生化学
人体内での物質代謝を研究する学問。
細菌学
病気の原因となる微生物を研究する学問。

医学・医療の文化と統合

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19世紀の医学
臨床医学の基本が整えられた時代。
20世紀の医学
一般社会の技術革新と共に、医学が激しいスピードで進歩した時代。
医学の細分化
学問と医療が細分化され、医師も専門分野を持つようになった。
(脳神経外科学、循環器病学、呼吸器病学、消化器病学、肝臓病学、内分泌学など)
専門医療の問題点
専門分野の追求により、病気を診る視点が強調され、患者を診る視点が薄れてきた。
総合診療医
ホームドクター
アメリカとイギリスで総合診療医やホームドクターが養成されるようになった背景。
日本でも細分化が進んでおり、総合診療医の必要性は増してきている。
日本の総合診療医制
日本では開業医制が総合診療医の役割を果たしてきたが、現代の専門医療には新たな総合診療医のあり方が必要とされた。
臨床研修の必修化
医師免許取得後の2年間、基本的な診療科を含む総合プログラムで広く医療を経験する研修制度。
チーム医療
総合診療医、専門医、看護師、コ・メディカル技師などがチームを作り、患者中心に医療を提供する体制。
診療情報管理士の役割
チーム医療の中で、診療録の書き方を統一する専門家としての役割が期待される。

医学と医療の歴史

伝説の医神

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日本の医神 『古事記』『日本書紀』に伝えられる大国主神や少彦名神が、医神として知られている。
中国の医神 神農が最古の医神とされ、牛首人身で薬効を民に教えたと伝えられている。「神農本草経」として後にまとめられた。
エジプトの医神 鳥首人身のトートが最古の医神とされている。
ギリシャの医神 ケイロンがアスクレピオスに医術を教えたとされ、アスクレピオスの神殿がギリシャ各地に建てられた。
アスクレピオスの杖 蛇が絡んだ杖は健康、不老、医療の象徴で、蛇は再生と復活を、杖は生命、力、権威を象徴する。医学の紋章として使用されている。

古代の医学(~5世紀)

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メソポタミアの医学 紀元前3000年頃、医療の専門職が存在し、油や牛乳が薬として用いられ、マッサージ療法が行われていた。
エジプトの医学 紀元前3000~1000年頃、薬草療法、創傷の手当て法、脱臼の整復法、歯痛の治療法が存在した。
インドの医学 紀元前1000~500年頃、バラモン教教典に基づき、薬物療法と外科的治療が行われていた。
中国の医学 紀元前1120~221年頃、『黄帝内経』などの医学書があり、当時すでに高度に発達した医学が存在していた。
『黄帝内経』 紀元前1世紀に刊行され、内容がヒポクラテス集典に匹敵する優れた医書。
ギリシャ医学 西洋医学の起源であり、ヒポクラテスが医療の基礎を築いた。
ヒポクラテス 「医学の祖」と称され、病気の原因を体液の調和の乱れと説明し、自然治癒力を重視。
『ヒポクラテス集典』 ヒポクラテスの弟子たちによってまとめられた医療の体系書。
アレキサンドリア医学 ヘロフィロスエラシストラトスが活躍した時代で、解剖学や生理学が発展した。
ヘロフィロス 解剖学者であり、十二指腸の名称を名づけた。
エラシストラトス 生理学者であり、心臓の弁の逆流を防ぐ仕組みを理解していた。
アレキサンドリア医学 ギリシャ医学とローマ医学の間の時代に発展した医学。
ヘロフィロス アレキサンドリア時代の解剖学者。十二指腸という名称を名づけた。
エラシストラトス アレキサンドリア時代の生理学者。心臓の弁が逆流を防ぐ仕組みを理解していた。
ガレヌス ローマ時代の著名な医学者で、臨床治療学、解剖学、生理学、病理学などに多大な貢献をした。
「炎症の四徴候」 ガレヌスの著書で紹介された、炎症の特徴である「発赤、熱感、腫脹、痛み」。
「四つの気質」 ガレヌスが提唱した、体液の調和による気質分類の概念。

中世の医学(5~16世紀)

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中世西欧の医学 社会がキリスト教的宗教観に強く支配され、病気の原因が信仰心と関連づけられた時代。解剖禁止令やガレヌス学説の無批判な継承が特徴。
暗黒時代 中世西欧において、医学の進歩が停滞した時代を指す。
アラビア医学 ギリシャ・ローマ医学がイスラム教国に伝わり発展。病院は国家によって建設運営され、診療録が作られた。
アッ・ラーズィ イスラム医学者。『医学の貯蔵箱』を刊行。
アヴィセンナ イスラム医学者。『医学典範』を編纂。
西欧の公衆衛生学 ペストなどの伝染病の蔓延を契機に、水道設置や食品管理が盛んになり、公衆衛生学が発展。
ペスト・・・
サレルノ医学校 9~12世紀にイタリアのサレルノに建設された医学校ヨーロッパ最古の医学校とされる。
ボローニャ大学 1158年にイタリアで創立されたヨーロッパ最古の大学。研究の自由が保証され、人体解剖が行われた。
中国の医学 漢の時代に発展し、漢方と呼ばれる。薬物療法や鍼灸術に優れ、木版印刷術により医書が出版された。
木版印刷術 中国で発明された技術。唐・宗の時代に発展し、医書の出版が盛んになった。

近世の医学 (16~19世紀)

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ルネッサンス期の自然主義 「自然に還る」という復古主義が、医学にも影響を与え、ギリシャ医学の再認識や実証精神に基づく新しい方法論が模索された。
ベサリウス  ルネッサンス期の解剖学者。人体解剖を行い、1543年に『人体の構造に関する七つの書』(Fablica)を刊行し、科学的医学を復興させた。
パラケルスス 錬金術から発展した化学の知識を医療に応用。精神病を身体の病気と捉え、医療の対象とする考えを唱えた。
パレ 戦傷の外科的治療や外科器具、義手・義足の考案、血管結紮による止血法を開発し、外科学を確立させた。
ハーベイ イギリスの医師。血液循環のメカニズムを解明し、『心臓の運動』を刊行。近代的生理学の祖とされる。
グーテンベルグ 活版印刷の発明。書物の大量出版が可能となり、医学の発展に大きく貢献。
ヤンセン親子 顕微鏡の発明
フック 細胞の発見
マルピギー 毛細血管の発見
レーウェンフーク 赤血球・細菌の発見
ラボアジェ 呼吸の生理を研究
化学の発展 18世紀に炭酸ガス、水素、窒素、酸素が発見された。
ヒポクラテスに還れ 17世紀、ギリシャ医学の再評価と自然治癒力の見直しを重視した運動。
シデナム イギリスの開業医で、「イギリスのヒポクラテス」と呼ばれ、疾病分類を試みた。診療録管理の歴史上で重要な人物。
ブールハーフェ オランダのライデン大学でベッドサイドティーチングを教育に導入し、臨床を重視する診療方法を広めた。
アウエンブルゲル 打診法を紹介し、診断学上で重要な貢献をした。
ラエネック フランスの内科医・病理学者で、肺結核などの胸部疾患の研究を通して聴診器を発明。
ハンター イギリスの外科医で、臨床医学研究の流れを作り、エジンバラ学派を形成した。
ジェンナー (Edward Jenner) 種痘を開発し、天然痘から多くの人々を救った。
プラヴァーズ (Charles Pravaz) 1852年に最初の注射器を作成。
病院医学の時代 1794年から1848年までのフランス革命期に、新しい医哲学が生まれ、臨床と研究が病院において行われた時代。
ブライト (Richard Bright) イギリスの病理学者で、病理学の発展に貢献。
ロキタンスキー (Karl Rokitansky) ウィーンの病理学者で、病理学の発展に寄与。
ウイルヒョウ (Rudolf L. K. Virchow) 細胞病理学説を提唱し、疾病の原因を細胞の病変に基づくとした。
ベル (Charles Bell) イギリスの生理学者で、神経系の研究に貢献。
ミューラー (Johannes Muller) ドイツの生理学者で、生理学の発展に大きく寄与。
ベルナール (Claude Bernard) フランスの生理学者で、消化器系や神経系の研究を行い、生理学の発展に貢献。
ゼンメルワイス (Ignaz P. Semmelweis) 産褥熱の研究から感染の概念を提唱し、手洗いや器具の消毒を推奨。
パスツール (Louis Pasteur) フランスの生化学者で、発酵や腐敗の原因が微生物であることを発見し、低温殺菌法やワクチンの開発に貢献。
リスター (Joseph Lister) パスツールの研究に基づき、石炭酸による防腐法を手術に適用し、感染の合併症を減少させた。
コッホ (Robert Koch) ドイツの細菌学者で、結核菌やコレラ菌を発見し、細菌感染の重要性を明らかにした。
北里柴三郎 (Kitasato Shibasaburo) ベーリングと共に抗毒素を発見し、血清療法を実用化した。
志賀潔 (Shiga Kiyoshi) 日本の細菌学者で、赤痢菌の発見により細菌学の進歩に大きく貢献した。
華岡青洲 (Hanaoka Seishu) 日本の医師で、麻沸散を用いた乳癌手術を1804年に成功させた、麻酔学の先駆者。
モートン (William Morton) アメリカの歯科医で、1846年にエーテル麻酔法を発表し、近代麻酔学の発展に貢献。
シンプソン (James Y. Simpson) イギリスの産科医で、1847年にクロロホルム麻酔法を発表した。
レントゲン (Wilhelm Conrad Röntgen) ドイツの物理学者で、X線を発見し、第1回ノーベル物理学賞を受賞した。
キュリー夫妻 (Pierre and Marie Curie) フランスの科学者夫妻で、ラジウムを発見し、放射線治療の基礎を築いた。
クレペリン (Emil Kraepelin) ドイツの精神科医で、精神医学に大きな貢献を果たし、その名を冠したテストもある。
フローレンス・ナイチンゲール (Florence Nightingale) イギリスの看護師で、近代看護学の基礎を築き、看護教育を確立した。
看護覚え書 (Notes on Nursing) フローレンス・ナイチンゲールが1859年に出版した、看護に関する有名な書籍。

二十世紀の医学

自然科学的体系としての医学の確立

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パブロフ 条件反射の研究で知られるロシアの生理学者、1900年頃。
ランドシュタイナー 血液型を発見したオーストリアの病理学者、1901年。
高峰譲吉 アドレナリンを発見した日本の化学者、1901年。

シャウデン・ホフマン

梅毒の病原体を発見したドイツの科学者たち、1905年。
ワッセルマン 梅毒血清反応を発見したドイツの免疫学者、1906年。
ピルケー アレルギー説を提唱したオーストリアの小児科医、1906年。
エールリッヒ & 秦佐八郎 サルバルサンを発見し、梅毒の治療法を開発、1910年。
鈴木梅太郎 & フンク ビタミンBを発見した日本の化学者とポーランドの生化学者、1911年。
アショフ 細網内皮系を発見したドイツの病理学者、1913年。
スターリング 十二指腸粘膜内でセクレチンを発見したイギリスの生理学者、1902年。
ケンダル 甲状腺からサイロキシンを分離したアメリカの生化学者、1914年。
山極勝三郎 & 市川厚一 兎の耳にコールタールを塗り人工癌を作成に成功した日本の科学者たち、1915年。
バンティング & ベスト インスリンの分離に成功したカナダの医学者たち、1921年。
ドーマク 化学療法剤プロントジールを開発したドイツの病理学者、1935年。
フレミング ペニシリンを発見したイギリスの細菌学者、1928年。
化学療法剤・抗生物質 細菌との戦いで発見された治療薬。20世紀医学の最大の功績。
プロントジール ドーマクが開発した最初の化学療法剤。スルフォンアミド系化学療法剤の発展の基礎。
ペニシリン フレミングが発見し、フローリが臨床応用した抗生物質。抗生物質開発の基礎となる。
ストレプトマイシン・カナマイシン ワックスマン、梅沢浜夫による発見。結核などに有効な抗生物質。
化学療法 化学物質を用いて病原体を直接攻撃する治療法。サルバルサンなどが有名。
癌の化学療法 悪性リンパ腫や白血病などに有効な化学療法剤が開発され、完全寛解が可能に。
臓器療法 臓器やその抽出物を用いる治療法。性ホルモンやインスリンなどが発見され、治療に用いられる。
人工臓器 臓器が機能を失った際に代替する装置。血液透析や人工心肺装置などが代表的。
臓器移植 免疫抑制剤の開発により、臓器移植が進展。腎臓、心臓などの臓器移植が可能に。
栄養学・食事療法 壊血病の原因がビタミンC欠乏によると判明。栄養分の分析が進み、食事療法が重要視される。
心身医学 心身相関を研究し、精神の不安や緊張が身体に影響を与えることを探求する医学分野。
予防医学 受動免疫を応用したワクチン療法が発展し、急性細菌性伝染病の予防に効果を上げる。

20世紀の医学の特徴

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医学の分化・専門化 20世紀後半に進展し、医学のさまざまな分野で分化が進んだこと。
総合機能の必要性 分化した医療を患者に役立たせるために、総合機能が求められるという考え方。
心身医学の強調 自然科学的医学と人間性が重視され、心身医学の必要性が強調されたこと。
医療の概念の拡大 予防医学、臨床医学、リハビリテーション医学、終末期医学まで範囲が広がったこと。
保健・医療・福祉の一体化 社会や行政で保健、医療、福祉が一体のものと理解される方向に進んだこと。
化学療法の進歩 20世紀における化学療法の出現と進歩。
ホルモン療法の進歩 20世紀におけるホルモン療法の進歩。
栄養学・食事療法の進歩 栄養学や食事療法の進歩と普及。
アレルギー・免疫学の進歩 アレルギーや免疫学の分野での進歩。
臓器移植 臓器移植技術の発展。
人工臓器 人工臓器の開発と利用。
遺伝子工学の応用 遺伝子工学が医学に応用されたこと。
心身医学の展開 心身医学が展開し、普及したこと。
予防医学・リハビリテーション医学の展開 予防医学やリハビリテーション医学が展開し、普及したこと。
臨床病理検査法の発達 臨床病理検査法が進歩したこと。
核医学の発展 核医学が発展したこと。
医用電子工学・電気工学の発達 医用電子工学や電気工学(ME)が進展したこと。
遺伝医学と医学倫理 遺伝医学の発展に伴い、医学倫理に新たな対応が求められる問題が発生したこと。
コンピュータと情報科学技術の応用 コンピュータの進歩と情報科学技術が医学・医療分野で応用され、情報化が進展したこと。

治療医学の進歩と展開

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治療薬の発見 20世紀における細菌との戦いでの化学療法剤、抗生物質の発見が最大の功績とされる。ドーマクによるプロントジール、フローリによるペニシリン、ワックスマンによるストレプトマイシンが代表的。
化学療法 化学物質を病原体に直接作用させて治療する方法。砒素剤606号の発見以降、多くの薬剤が開発された。最近では癌に対する化学療法剤も進歩している。
臓器療法 臓器またはその抽出物を用いた治療。性ホルモン、副腎皮質ホルモン、インスリンなどが臓器から抽出され、治療に利用されている。人工臓器の開発も進展している。
臓器移植 1960年代に免疫抑制剤が開発され、臓器移植が急速に進歩。腎臓、心臓、肺、肝臓、膵臓、小腸などの移植が可能となった。
栄養学・食事療法の進歩 壊血病がビタミンC欠乏によると判明したのは20世紀。ビタミンや無機塩類の不足が各種の疾患を引き起こすことが明らかになり、食事療法の重要性が増している。
心身医学 精神の不安や緊張が原因でおこる身体的症状について、20世紀に心理学的研究が始まった。神経症や心身症など心と身体が関わる病気への社会的関心が高まっている。
予防医学 20世紀に入り、細菌性伝染病の予防に受動免疫を応用したワクチン療法が効果を上げた。1960年代にはウイルス性疾患のワクチン療法が始まり、小児麻痺やインフルエンザ予防接種が実用化された。
リハビリテーション医学の展開 機能的障害を回復させ、社会生活に適応するための治療。近年では心臓手術後や肺手術後も対象に含まれる。医師、看護師、理学療法士などが関わる。
末期医療 患者が近い将来に「死」が不可避となる状況での医療。生命倫理を背景に積極的な延命手術は行わず、心の安静や鎮痛などの対症療法が主となる。ホスピスや緩和ケア病棟が設置されている。

検査・診断学の展開・治療機器・医用電子工学(ME)・情報科学の発達

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検査法の発達 生化学、免疫学、血液学の進歩により、血液などの検体を用いた各種検査法が発達し、診断の精度を向上させた。
ラジオアイソトープ(放射性同位元素、RI) サイクロトロンや原子炉で人工的に作られる放射性同位元素が、臓器の悪性腫瘍の診断・治療に広く用いられる。
超音波エコーグラフィ 超音波発射装置と受像装置を用いて、侵襲性がないため、体内の諸臓器の画像診断に広く使用されている。
CTスキャン 1972年に開発されたCTスキャナーは、放射線機器と電算機の組み合わせによる断層撮影装置であり、実質臓器の腫瘍などの診断に有効。
MRI 磁力を応用して人体の断層像を描出する方法で、脳神経科や整形外科の診断能力を向上させた。
内視鏡(endoscopy) 1950年に胃カメラとして開発されたファイバースコープで、消化管や関節などの内腔観察や生検が可能。近年は全消化管の観察も可能になった。
レーザー光線(laser) 1960年にアメリカで開発されたレーザー光線は、眼科治療や外科手術での止血、血液化学成分分析などに利用されている。laserは「Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation」の略。
ガンマナイフ 定位的放射線手術。6°Co(コバルト60)から放出されたガンマ線を病巣部に集中照射する低侵襲治療法。主に脳動静脈奇形や脳腫瘍に適応。
リニアック サイバーナイフなど、定位放射線治療や重粒子線治療に用いられる。
医用電子工学(Medical Electronics) 電子工学の発達により、診断・検査機器の機能が大幅に向上し、微量成分の分析が可能となった。
情報科学と電算機 コンピュータの応用により、多元的な医学的情報の解析・自動診断装置の実用化、病院のオーダーリングシステムや電子カルテシステムの実現が可能となった。

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