わが国の医学と医療の歴史
漢方医学の時代・西欧医学の伝来・西洋医学の導入期
項目 | 説明 |
漢方医学 | 漢の時代に発達し、唐・宋の時代に医書にまとめられた中国医学。奈良・平安時代に日本で公の医学として採用された。 |
大宝律令 | 西暦701年に発布された規則で、医療に関する規定が含まれている。中国からの影響が強い。 |
医疾令 | 大宝律令に含まれる、医療に関する規則。 |
江戸時代 | 1603年から1868年までの日本の時代で、身分制度が固定された。医学も普及していった。 |
医は仁術 | 江戸時代の医師の倫理規範を示す言葉。貝原益軒の「養生訓」に由来する。 |
南蛮医学 | 西欧の医学の日本での呼び名。ポルトガルから伝来した。 |
蘭学 | オランダ医学。西欧医学が日本に導入された時の呼び名。 |
解体新書 | 1774年に杉田玄白・前野良沢が翻訳し出版した西欧医学に関する書籍。 |
鳴滝塾 | シーボルトが長崎で開設した医学塾。多くの日本人医師を育成した。 |
適適斎塾 | 大阪の緒方洪庵が設立した蘭学塾。 |
施薬院 | 1722年に江戸幕府によって創設された民のための病院。 |
博愛社病院 | 1886年に設立された赤十字の前身となる病院。 |
西洋医学 | 明治維新後に日本で正式に採用された医学で、ドイツ医学を模範としている。 |
ドイツ医学 | 明治時代に模範とされた西洋医学の一つ。 |
東京医学校 | 1871年に設立された、現在の東京大学医学部。西洋医学教育が始まった。 |
帝国大学 | 明治時代に設置された日本の大学。医学部も設置され、教育と研究の中心となった。 |
官立病院 | 明治時代に設立された、政府が設置した病院。 |
私立病院 | 1878年以降に増加した、民間が設立した病院。 |
医務局 | 1873年に文部省に設置された、医療に関する管理機関。 |
内務省 | 1875年に衛生局が設置された省庁。医務局の業務を引き継いだ。 |
伝染病予防法 | 1897年に発令された、伝染病の予防に関する法律。 |
医師法 | 1906年に制定された、医学教育と医師の身分免許に関する法律。 |
種痘法 | 1909年に発令された、種痘に関する法律。 |
大正時代から昭和初期の医療制度
項目 | 説明 |
大正デモクラシー | 大正時代に見られた社会民主主義的な運動で、労働運動が盛んになった。 |
施薬救療事業 | 時の政府が行った労働者の救済活動で、社会主義運動の抑圧の一環として行われた。 |
恩賜財団済生会 | 施薬救療事業の一環として設立された施療医療を提供する団体。 |
医療の社会化運動 | 医療が社会保障の視点から検討されるようになり、農民や労働組合による医療利用組合設立が進んだ。 |
職域病院 | 産業の発展に伴い、大企業が設立した病院。 |
医師会 | 開業医の団体で、1907年に府県単位医師会が設立され、1916年に大日本医師会として統合された。 |
看護婦規則 | 1915年に制定された、看護婦に関する規則。 |
結核予防法 | 1919年に制定された結核対策に関する法律。 |
健康保険法 | 1922年に制定された保険医療制度の発足に関する法律。 |
薬剤師法 | 1925年に制定された、薬剤師に関する法律。 |
寄生虫病予防法 | 1931年に発布された寄生虫病の予防に関する法律。 |
診療所取締り規則 | 1933年に制定された医療法の前身で、診療所の取り締まりに関する規則。 |
保健所法 | 1937年に制定された、保健所に関する法律。 |
厚生省 | 1938年に内務省から独立し設立された、保健行政を担当する省。 |
国民医療法 | 1942年に制定された、戦時下の医療国家統制に関する法律。 |
医学専門学校 | 1943年に軍医など医師の速成のため設立された専門学校。 |
新医師国家試験制度 | 1946年に新しく定められた医師国家試験制度で、医学部卒業生に臨床病院実習が義務づけられた。 |
医療法 | 1948年に制定された、新しい医療制度に関する法律。 |
現代医療
チーム医療・EBM(Evidence-Based Medichine:根拠に基づく医療)
項目 | 説明 |
生物学的手法 | 生物学の原理を基にした研究手法で、動物実験などが含まれる。 |
臨床応用 | 医学の研究成果を実際の医療現場で診断や治療に活用すること。 |
要素還元的研究 | 複雑な現象を構成要素に分解して研究する手法で、医学が細分化される一因となった。 |
内視鏡 | 体内の視覚化を可能にする医療機器で、診断や治療に用いられる。 |
放射線診断 | 放射線を用いて体内の状態を診断する技術。 |
超音波診断 | 超音波を利用して体内の状態を診断する技術。 |
チーム医療 | 医療従事者が協力して患者中心の医療を行う方式で、情報の共有と開示が必要。 |
EBM (Evidence-Based Medicine) | 科学的根拠に基づく医療手法で、臨床的判断を客観的データに基づいて行う。 |
メガスタディ | 大規模な臨床試験で、EBMの根拠となるデータを提供する。 |
RCT (Randomized Control Trial) | 無作為化比較試験で、EBMの精度の高い研究方法とされる。 |
メタアナリシス | 複数の大規模試験結果を統合して分析する手法で、EBMの根拠を強化する。 |
EBMの定義 | ①科学的根拠、②患者の価値観、③臨床技術の統合で、医療判断を行う手法。 |
EBMの実践手順 | 1. 問題点の抽出 2. 情報収集 3. 情報の吟味 4. 患者への適応 5. 評価。 |
インフォームド・コンセント | 患者が治療に関する情報を理解し、自ら選択する権利を持つこと。 |
NBM (Narrative-Based Medicine) | 対話と論述に基づく医療で、患者中心の医療実践における対話の重要性を強調。 |
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