20世紀の医学(近代の医学)
自然科学的体系としての医学の確立
項目 | 説明 |
パブロフ | 条件反射の研究で知られるロシアの生理学者、1900年頃。 |
ランドシュタイナー | 血液型を発見したオーストリアの病理学者、1901年。 |
高峰譲吉 | アドレナリンを発見した日本の化学者、1901年。 |
シャウデン・ホフマン |
梅毒の病原体を発見したドイツの科学者たち、1905年。 |
ワッセルマン | 梅毒血清反応を発見したドイツの免疫学者、1906年。 |
ピルケー | アレルギー説を提唱したオーストリアの小児科医、1906年。 |
エールリッヒ & 秦佐八郎 | サルバルサンを発見し、梅毒の治療法を開発、1910年。 |
鈴木梅太郎 & フンク | ビタミンBを発見した日本の化学者とポーランドの生化学者、1911年。 |
アショフ | 細網内皮系を発見したドイツの病理学者、1913年。 |
スターリング | 十二指腸粘膜内でセクレチンを発見したイギリスの生理学者、1902年。 |
ケンダル | 甲状腺からサイロキシンを分離したアメリカの生化学者、1914年。 |
山極勝三郎 & 市川厚一 | 兎の耳にコールタールを塗り人工癌を作成に成功した日本の科学者たち、1915年。 |
バンティング & ベスト | インスリンの分離に成功したカナダの医学者たち、1921年。 |
ドーマク | 化学療法剤プロントジールを開発したドイツの病理学者、1935年。 |
フレミング | ペニシリンを発見したイギリスの細菌学者、1928年。 |
化学療法剤・抗生物質 | 細菌との戦いで発見された治療薬。20世紀医学の最大の功績。 |
プロントジール | ドーマクが開発した最初の化学療法剤。スルフォンアミド系化学療法剤の発展の基礎。 |
ペニシリン | フレミングが発見し、フローリが臨床応用した抗生物質。抗生物質開発の基礎となる。 |
ストレプトマイシン・カナマイシン | ワックスマン、梅沢浜夫による発見。結核などに有効な抗生物質。 |
化学療法 | 化学物質を用いて病原体を直接攻撃する治療法。サルバルサンなどが有名。 |
癌の化学療法 | 悪性リンパ腫や白血病などに有効な化学療法剤が開発され、完全寛解が可能に。 |
臓器療法 | 臓器やその抽出物を用いる治療法。性ホルモンやインスリンなどが発見され、治療に用いられる。 |
人工臓器 | 臓器が機能を失った際に代替する装置。血液透析や人工心肺装置などが代表的。 |
臓器移植 | 免疫抑制剤の開発により、臓器移植が進展。腎臓、心臓などの臓器移植が可能に。 |
栄養学・食事療法 | 壊血病の原因がビタミンC欠乏によると判明。栄養分の分析が進み、食事療法が重要視される。 |
心身医学 | 心身相関を研究し、精神の不安や緊張が身体に影響を与えることを探求する医学分野。 |
予防医学 | 受動免疫を応用したワクチン療法が発展し、急性細菌性伝染病の予防に効果を上げる。 |
20世紀の医学の特徴
項目 | 説明 |
医学の分化・専門化 | 20世紀後半に進展し、医学のさまざまな分野で分化が進んだこと。 |
総合機能の必要性 | 分化した医療を患者に役立たせるために、総合機能が求められるという考え方。 |
心身医学の強調 | 自然科学的医学と人間性が重視され、心身医学の必要性が強調されたこと。 |
医療の概念の拡大 | 予防医学、臨床医学、リハビリテーション医学、終末期医学まで範囲が広がったこと。 |
保健・医療・福祉の一体化 | 社会や行政で保健、医療、福祉が一体のものと理解される方向に進んだこと。 |
化学療法の進歩 | 20世紀における化学療法の出現と進歩。 |
ホルモン療法の進歩 | 20世紀におけるホルモン療法の進歩。 |
栄養学・食事療法の進歩 | 栄養学や食事療法の進歩と普及。 |
アレルギー・免疫学の進歩 | アレルギーや免疫学の分野での進歩。 |
臓器移植 | 臓器移植技術の発展。 |
人工臓器 | 人工臓器の開発と利用。 |
遺伝子工学の応用 | 遺伝子工学が医学に応用されたこと。 |
心身医学の展開 | 心身医学が展開し、普及したこと。 |
予防医学・リハビリテーション医学の展開 | 予防医学やリハビリテーション医学が展開し、普及したこと。 |
臨床病理検査法の発達 | 臨床病理検査法が進歩したこと。 |
核医学の発展 | 核医学が発展したこと。 |
医用電子工学・電気工学の発達 | 医用電子工学や電気工学(ME)が進展したこと。 |
遺伝医学と医学倫理 | 遺伝医学の発展に伴い、医学倫理に新たな対応が求められる問題が発生したこと。 |
コンピュータと情報科学技術の応用 | コンピュータの進歩と情報科学技術が医学・医療分野で応用され、情報化が進展したこと。 |
治療医学の進歩と展開
項目 | 説明 |
治療薬の発見 | 20世紀における細菌との戦いでの化学療法剤、抗生物質の発見が最大の功績とされる。ドーマクによるプロントジール、フローリによるペニシリン、ワックスマンによるストレプトマイシンが代表的。 |
化学療法 | 化学物質を病原体に直接作用させて治療する方法。砒素剤606号の発見以降、多くの薬剤が開発された。最近では癌に対する化学療法剤も進歩している。 |
臓器療法 | 臓器またはその抽出物を用いた治療。性ホルモン、副腎皮質ホルモン、インスリンなどが臓器から抽出され、治療に利用されている。人工臓器の開発も進展している。 |
臓器移植 | 1960年代に免疫抑制剤が開発され、臓器移植が急速に進歩。腎臓、心臓、肺、肝臓、膵臓、小腸などの移植が可能となった。 |
栄養学・食事療法の進歩 | 壊血病がビタミンC欠乏によると判明したのは20世紀。ビタミンや無機塩類の不足が各種の疾患を引き起こすことが明らかになり、食事療法の重要性が増している。 |
心身医学 | 精神の不安や緊張が原因でおこる身体的症状について、20世紀に心理学的研究が始まった。神経症や心身症など心と身体が関わる病気への社会的関心が高まっている。 |
予防医学 | 20世紀に入り、細菌性伝染病の予防に受動免疫を応用したワクチン療法が効果を上げた。1960年代にはウイルス性疾患のワクチン療法が始まり、小児麻痺やインフルエンザ予防接種が実用化された。 |
リハビリテーション医学の展開 | 機能的障害を回復させ、社会生活に適応するための治療。近年では心臓手術後や肺手術後も対象に含まれる。医師、看護師、理学療法士などが関わる。 |
末期医療 | 患者が近い将来に「死」が不可避となる状況での医療。生命倫理を背景に積極的な延命手術は行わず、心の安静や鎮痛などの対症療法が主となる。ホスピスや緩和ケア病棟が設置されている。 |
検査法・診断法・治療機器・医用電子工学(ME)・情報科学の発達
項目 | 説明 |
検査法の発達 | 生化学、免疫学、血液学の進歩により、血液などの検体を用いた各種検査法が発達し、診断の精度を向上させた。 |
ラジオアイソトープ(放射性同位元素、RI) | サイクロトロンや原子炉で人工的に作られる放射性同位元素が、臓器の悪性腫瘍の診断・治療に広く用いられる。 |
超音波エコーグラフィ | 超音波発射装置と受像装置を用いて、侵襲性がないため、体内の諸臓器の画像診断に広く使用されている。 |
CTスキャン | 1972年に開発されたCTスキャナーは、放射線機器と電算機の組み合わせによる断層撮影装置であり、実質臓器の腫瘍などの診断に有効。 |
MRI | 磁力を応用して人体の断層像を描出する方法で、脳神経科や整形外科の診断能力を向上させた。 |
内視鏡(endoscopy) | 1950年に胃カメラとして開発されたファイバースコープで、消化管や関節などの内腔観察や生検が可能。近年は全消化管の観察も可能になった。 |
レーザー光線(laser) | 1960年にアメリカで開発されたレーザー光線は、眼科治療や外科手術での止血、血液化学成分分析などに利用されている。laserは「Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation」の略。 |
ガンマナイフ | 定位的放射線手術。6°Co(コバルト60)から放出されたガンマ線を病巣部に集中照射する低侵襲治療法。主に脳動静脈奇形や脳腫瘍に適応。 |
リニアック | サイバーナイフなど、定位放射線治療や重粒子線治療に用いられる。 |
医用電子工学(Medical Electronics) | 電子工学の発達により、診断・検査機器の機能が大幅に向上し、微量成分の分析が可能となった。 |
情報科学と電算機 | コンピュータの応用により、多元的な医学的情報の解析・自動診断装置の実用化、病院のオーダーリングシステムや電子カルテシステムの実現が可能となった。 |
Kaito
オーダリングシステムや電子カルテの活用によって、いろいろな職種のスタッフから統計の仕事を頼まれたりと、情報を扱う診療情報管理士のニーズがますます高まっていることを実感しているよ。内容によっては大変な集計もあるけど、とてもやりがいを感じてるよ。