1-2 医学・医療の歴史

医学と医療の歴史

伝説の医神

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日本の医神 『古事記』『日本書紀』に伝えられる大国主神少彦名神が、医神として知られている。
中国の医神 神農が最古の医神とされ、牛首人身で薬効を民に教えたと伝えられている。「神農本草経」として後にまとめられた。
エジプトの医神 鳥首人身のトートが最古の医神とされている。
ギリシャの医神 ケイロンアスクレピオスに医術を教えたとされ、アスクレピオスの神殿がギリシャ各地に建てられた。
アスクレピオスの杖 蛇が絡んだ杖は健康、不老、医療の象徴で、蛇は再生と復活を、杖は生命、力、権威を象徴する。医学の紋章として使用されている。

古代の医学(~5世紀)

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メソポタミアの医学 紀元前3000年頃、医療の専門職が存在し、油や牛乳が薬として用いられ、マッサージ療法が行われていた。
エジプトの医学 紀元前3000~1000年頃、薬草療法、創傷の手当て法、脱臼の整復法、歯痛の治療法が存在した。
インドの医学 紀元前1000~500年頃、バラモン教教典に基づき、薬物療法と外科的治療が行われていた。
中国の医学 紀元前1120~221年頃、『黄帝内経』などの医学書があり、当時すでに高度に発達した医学が存在していた。
『黄帝内経』 紀元前1世紀に刊行され、内容がヒポクラテス集典に匹敵する優れた医書。
ギリシャ医学 西洋医学の起源であり、ヒポクラテスが医療の基礎を築いた。
ヒポクラテス 「医学の祖」と称され、病気の原因を体液の調和の乱れと説明し、自然治癒力を重視。
『ヒポクラテス集典』 ヒポクラテスの弟子たちによってまとめられた医療の体系書。
アレキサンドリア医学 ヘロフィロスエラシストラトスが活躍した時代で、解剖学や生理学が発展した。
ヘロフィロス 解剖学者であり、十二指腸の名称を名づけた。
エラシストラトス 生理学者であり、心臓の弁の逆流を防ぐ仕組みを理解していた。
アレキサンドリア医学 ギリシャ医学とローマ医学の間の時代に発展した医学。
ヘロフィロス アレキサンドリア時代の解剖学者。十二指腸という名称を名づけた。
エラシストラトス アレキサンドリア時代の生理学者。心臓の弁が逆流を防ぐ仕組みを理解していた。
ガレヌス ローマ時代の著名な医学者で、臨床治療学、解剖学、生理学、病理学などに多大な貢献をした。
「炎症の四徴候」 ガレヌスの著書で紹介された、炎症の特徴である「発赤、熱感、腫脹、痛み」。
「四つの気質」 ガレヌスが提唱した、体液の調和による気質分類の概念。

中世の医学(5~16世紀)

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中世西欧の医学 社会がキリスト教的宗教観に強く支配され、病気の原因が信仰心と関連づけられた時代。解剖禁止令やガレヌス学説の無批判な継承が特徴。
暗黒時代 中世西欧において、医学の進歩が停滞した時代を指す。
アラビア医学 ギリシャ・ローマ医学がイスラム教国に伝わり発展。病院は国家によって建設運営され、診療録が作られた。
アッ・ラーズィ イスラム医学者。『医学の貯蔵箱』を刊行。
アヴィセンナ イスラム医学者。『医学典範』を編纂。
西欧の公衆衛生学 ペストなどの伝染病の蔓延を契機に、水道設置や食品管理が盛んになり、公衆衛生学が発展。
ペスト・・・
サレルノ医学校 9~12世紀にイタリアのサレルノに建設された医学校ヨーロッパ最古の医学校とされる。
ボローニャ大学 1158年にイタリアで創立されたヨーロッパ最古の大学。研究の自由が保証され、人体解剖が行われた。
中国の医学 漢の時代に発展し、漢方と呼ばれる。薬物療法や鍼灸術に優れ、木版印刷術により医書が出版された。
木版印刷術 中国で発明された技術。唐・宗の時代に発展し、医書の出版が盛んになった。

近世の医学 (16~19世紀)

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ルネッサンス期の自然主義 自然に還る復古主義、ギリシャ医学の再認識、実証精神。
<重要な医学者と業績>  
ベサリウス  ルネッサンス期の解剖学者。人体解剖を行い、1543年に『人体の構造に関する七つの書』を刊行。科学的医学の復興。
パラケルスス 化学知識の医療応用、精神病を身体の病気とする考え。
パレ 外科的治療、義手・義足、止血法の開発。
ハーベイ 血液循環の解明、『心臓の運動』。
グーテンベルグ 活版印刷の発明、医学の発展に貢献。
ヤンセン親子 顕微鏡の発明
フック 細胞の発見
マルピギー 毛細血管の発見
レーウェンフーク 赤血球・細菌の発見
ラボアジェ 呼吸の生理を研究
化学の発展 18世紀に炭酸ガス、水素、窒素、酸素が発見された。
ヒポクラテスに還れ 17世紀、ギリシャ医学の再評価と自然治癒力の見直しを重視した運動。
シデナム イギリスの開業医で、「イギリスのヒポクラテス」と呼ばれ、疾病分類を試みた。診療録管理の歴史上で重要な人物。
ブールハーフェ オランダのライデン大学でベッドサイドティーチングを教育に導入し、臨床を重視する診療方法を広めた。
アウエンブルゲル 打診法を紹介し、診断学上で重要な貢献をした。
ラエネック フランスの内科医・病理学者で、肺結核などの胸部疾患の研究を通して聴診器を発明。
ハンター イギリスの外科医で、臨床医学研究の流れを作り、エジンバラ学派を形成した。
ジェンナー  種痘を開発し、天然痘から多くの人々を救った。
プラヴァーズ  1852年に最初の注射器を作成。
病院医学の時代 1794年から1848年までのフランス革命期に、新しい医哲学が生まれ、臨床と研究が病院において行われた時代。
ブライト  イギリスの病理学者で、病理学の発展に貢献。
ロキタンスキー ウィーンの病理学者で、病理学の発展に寄与。
ウイルヒョウ 細胞病理学説を提唱し、疾病の原因を細胞の病変に基づくとした。
ベル イギリスの生理学者で、神経系の研究に貢献。
ミューラー ドイツの生理学者で、生理学の発展に大きく寄与。
ベルナール フランスの生理学者で、消化器系や神経系の研究を行い、生理学の発展に貢献。
ゼンメルワイス 産褥熱の研究から感染の概念を提唱し、手洗いや器具の消毒を推奨。
パスツール フランスの生化学者で、発酵や腐敗の原因が微生物であることを発見し、低温殺菌法やワクチンの開発に貢献。
リスター パスツールの研究に基づき、石炭酸による防腐法を手術に適用し、感染の合併症を減少させた。
コッホ ドイツの細菌学者で、結核菌やコレラ菌を発見し、細菌感染の重要性を明らかにした。
北里柴三郎 ベーリングと共に抗毒素を発見し、血清療法を実用化した。
志賀潔 日本の細菌学者で、赤痢菌の発見により細菌学の進歩に大きく貢献した。
華岡青洲 日本の医師で、麻沸散を用いた乳癌手術を1804年に成功させた、麻酔学の先駆者。
モートン アメリカの歯科医で、1846年にエーテル麻酔法を発表し、近代麻酔学の発展に貢献。
シンプソン イギリスの産科医で、1847年にクロロホルム麻酔法を発表した。
レントゲン ドイツの物理学者で、X線を発見し、第1回ノーベル物理学賞を受賞した。
キュリー夫妻 フランスの科学者夫妻で、ラジウムを発見し、放射線治療の基礎を築いた。
クレペリン ドイツの精神科医で、精神医学に大きな貢献を果たし、その名を冠したテストもある。
フローレンス・ナイチンゲール イギリスの看護師で、近代看護学の基礎を築き、看護教育を確立した。
看護覚え書 フローレンス・ナイチンゲールが1859年に出版した、看護に関する有名な書籍。